前途多難です、今日もこのお話...にお…

2015年10月23日

前途多難です、今日もこのお話...にお付き合い下さい。

 

連日ニュースを賑わす傾斜マンション事件です、この事件の矢面に立つのは売主の三井不動産と施工主の三井住友建設と二次下請の旭化成建材ですが、三井不動産と同列で共同売主でもある明豊エンタープライズや一次下請けの日立ハイテクノロジーズは影が薄すぎます、なんかあるんかなと勘繰りたくなってしまいます...今日もこの関連ですがこの話題をひとつ... 現在の区分所有法(マンション法)の規定によると所有者の5分の4の賛成があれば建替えは可能です。この区分所有法の施行は1962年(昭和37年)で53年も前です、当時建替えの場合は所有者全員の賛成が必要でしたが1983年(昭和58年)に法改正となり現行の5分の4となりました、これはあくまでも同敷地に一棟の建物がある場合を想定しています。今回の横浜のケースは同敷地内に4棟の建物があります、近年はこのように建築されるマンションも多く2002年(平成14年)に規定の追加がありました、同敷地内に複数建物がある場合の建て替えは、同敷地内にある建物全棟の5分の4の賛成及び同敷地内にある各棟で3分の2の賛成が必要となります。

 

今回の横浜のケースでは4棟全戸705戸で564戸の賛成と各棟で3分の2の賛成が必要になるという事です、いくら売主の三井不動産が社会的責任を負い全棟建替えますと主張しても区分所有法の壁もある訳です。その上、傾いてるのは4棟の内1棟のみで残る3棟は傾きも無し杭打ちも正常ですからハードルは少々高いような気がします。傾いていない棟の所有者にしてみれば仮住まいや引越しを考えると建て替えよりも損害賠償保証金を貰いたいという人も居るかもしれません。そこで考えるのが傾いた建物だけ建替えをするという案ですこの考えも自然な流れですがこの場合は、建替える建物の所有者5分の4の賛成と尚且つ全棟で4分の3の賛成が必要となります、傾いた建物の所有者は是が非でも建替え派となりますが傾いていない建物の所有者にしてみれば...ではないでしょうか、

 

このままいくら話を進めようが区分所有法が邪魔をして傾いた棟の建替えすら出来ないなんて事にならない事を祈るばかりです。そして、一説によれば全棟の建て替えには期間3年で建替えに要する解体費、建築費、705戸の引越し費用、仮住まい費用、損害賠償負担金等々合計で300億円と試算されています、費用に関しては分りませんが、期間が3年で建て替えが実現するとは到底思えません、全棟全戸の5分の4が賛成であっても反対の人も居ます、そうすると5分の4をクリアしてても賛成派と反対派で買取請求権や売渡請求で訴訟となるとなりますドロ沼です、月日が流れると生活環境も変わります資産価値も変わります、相続問題が発生もするでしょう前途多難です。

 

この問題が発生してから夜も眠れないマンションデベロッパーや準大手ゼネコンの方も多いのではないでしょうか...